ファインダーの向こう
「あいつは俺が引き取る」


「そうしてもらえると助かります」


「ガサ入れの騒動も最小限に抑えられてたみたいだし、きっと周りの店なんて気がついてないぜ」


「ガサ入れは闇の中で迅速に……というのが逢坂さんの教えでしたから、ではまた。あぁそれから、盗聴器に録音されてる音源は、こちらでもコピーをとらせていただきましたので」


 森本はそう言うと、軽く頭を下げて逢坂のもとを離れていった。


「ふん、なんだあいつ……ちゃっかりしてるな」


 そう呟きながら逢坂は小さく口元を歪めた―――。
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