ファインダーの向こう
「沙樹ちゃん、里浦のことを追いたくてしかたないって顔してるね」


 波多野が腕を組みながら沙樹の顔を覗き込みながら言った。


「あいつと、逢坂と同じ目になってきた」


「え……?」


「危険だよ、これ以上は」


 不意に波多野の声が低く神妙なものになって、沙樹は仕事手を止めて向き直った。


「どういうことですか?」


「うーん、ここじゃなんだから場所を変えようか」


 にっこり笑う波多野の表情に、窺い知れない何かを感じた沙樹は、ゆっくり頷いて波多野と後に続いた。
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