欲張りでいーでしょ!!!
初恋の相手
朝日side


俺、宮沢 朝日


笠原 杏と付き合って結構立つ...。


昔から女には全くと言っていい程
興味が無かった。


よく分かんねーけど、俺はモテる...らしい。

告白なんて日常茶飯事で、適当に振って、
毎日を過ごしてた。


アイツ、と会うまでは。



小3の時、笠原と初めて同じクラスになった。


普通の女はキャーキャー言って、泣いて、男にモテたがる奴だと思ってた


昼休みのレクリエーションで
鬼ごっこをした時。

足が速い俺は鬼だった。

でも、頭が痛くて座ってたら女達は大丈夫?
とか途方もない事ばっか言ってきた。


それがウザくなって俺は無理矢理鬼をやって、走って、頑張った


そしたら


『宮沢!』

後ろから名前を呼ばれた

『はい!これ、やっといた方が良いよ!』

手に置かれたのは冷えピタシート。

『あ、手触っちゃったけど、捕まった事にしないでね!私、足ただでさえ遅いんだから!』

タタタタタタタタッ

正直ビックリして何も言えなかった

俺が座ってただけで、
頭が痛いって分かったのか...って。

普通の女みたいに、
キャーキャー言わないのか...って。


それ以来、俺は笠原と話す事が多くなった


もしかしたら、
その時から好きになってたのかもしれない




4年になってクラス替え。俺と笠原は見事に離れて、笠原は岳と同じクラスになった


風の噂で笠原が岳が好きだと聞いた

その時はそこまで傷付か無かった


そして、5年でまた笠原と同じクラスになった

岳も一緒に。


5年になって最初の席替えで、俺と笠原は隣になった

『宮沢...だよね?久しぶり!』

『...久しぶり』

3年の時みたいに話は交わすようになったけど
笠原は岳が好きなんだ。って言うのが印象深くて、素直な気持ちで話せなかった


『お前...さ。岳が好きなの?』


気付いたら口からこの言葉が出てた


『...ッッ///』

真っ赤になって恥ずかしそうに下を向く笠原を見て、俺は内心ムカついた

だけど、それ以上に


『応援してやるよ』

『あ、ありがとうッッ!!!』

そう、こういう笑顔が見たかった

笠原の笑顔が見れればいいと思った


それから2年間、俺はずっと応援してた


でも中学に入って、例え理由が合ったとしても...岳が笠原を泣かせてるのを見て、...いつの間にか好きになってた


も、時々思う...。


いつから、笠原は岳じゃなくて 俺 を好きになってくれてたんだろうって。


『ん...』

パチッ

目の前で倒れた笠原を抱えて、
俺は保健室に来た

花粉症ではなく、
やっぱり風邪だったみたいだ


『目、覚めたか?
お前、風邪だし。熱、40°もあったし。』

『...そーなの?』

すごい鼻声でベッドの布団から目だけ出して心配そうに俺の顔を除く

『ったく、気をつけろよ?
俺がいなかったら...』

『朝日...ってさぁ?
いつから私が好きだったのぉ?』

『は!?///』

てか、コイツ...顔真っ赤だし。
熱40°だもんな。

目もトローンってしてるし...。

寝ぼけてんのか?


『笠原、寝てろよ。
風邪、直さねーといけねーだろ』

ギュッ

『やだ。朝日が言わなきゃ、寝ないもん』

思いっきりジャージの袖を掴まれた

コイツ...幼児化してね?


正直...可愛い。けど。


寝てもらわねーと、直らないし。
どーせ寝ぼけてるし...


『いつから...って。いつの間にか、岳に一途なお前に惚れてた...って、俺何言って...///』

寝ぼけてたとしても、これは言い過ぎた...。

『...え...?』

イキナリ笠原の目がパッチリして
俺を見つめた

『...ッッ///』

真っ直ぐ見つめてくるもんだから、
俺は真っ赤になった

バサッ


『何よ...ッッ///』

イキナリ布団を被って口を開く笠原

『...知らなかったの?』


『え...?』


『私の初恋の人...。』

それって...岳じゃないのか?


『朝日だよ...。小1の時から、ずっと、
見てた。一目惚れした。』


は...?


『でも、振り向いてくれなかった...。
それで、私は岳を好きになったの』

...ッッ...


グイッ

俺は笠原を抱きしめてた


『ちょ、朝日ッッ』

『...嬉しい。』


『え...?』


『俺の初恋だってお前だ。
初恋が実るなんて...運命だよな。』

『朝日...。私も嬉しいよ』


神様とか信じた事ないけど。


もしも存在するなら

運命 が俺らをくっつけてくれたなら


ありがとう...。


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