欲張りでいーでしょ!!!
天使のような悪魔の笑顔
ザワザワ

朝の廊下ー...

ザワザワ

何か...視線が痛い...気がする...

私...何かしたっけ!?

『杏ッッ!!!』

紗羅...

何か嫌な予感がする...!!

『ど、どうしたの??』

『それがー...
まだ本当か分からないんだけどね...
学校のゴミ箱にこれが入ってたらしいの...』

カサッ


それはー...紛れもなく


私が書いたラブレター...だった



岳宛に...



『う、嘘に決まってるよ!!
だって岳はそんなことしないよッッ
信じない方がいいよ!!!杏』

紗羅はそう言うけどー...


ぐちゃぐちゃにされたラブレター...封筒の開け方が縦切れになってる。

普通一般人は、横切れにして開ける。


でもー...

前に岳が話してた...

〝俺 何でも縦に切りたくなるんだよなッッ〟

間違いなく...これを開けたのは岳。

それに、ラベンダーの香りがする...
岳からする、におい...と同じ...


涙が頬をつたる感触...

膝がペタンと床に着いた。

『杏ッッ』

『はっ...最悪だね。
私...岳に、ふられるって分かってたのに...
一人で浮かれて...期待して...』

ブワッ

もう...消えちゃいたい...ッッ

『本ッッ当に最低...最悪なおん...』

グイッ

言葉が言い終わる前に
腕を上から引っ張られた。


『泣いてんじゃねぇよ!!!
自分の事責めんなよ!?悪いのは岳だろ!?』

宮沢ー...!!!


『ッッーー...』

何でよ...どうして...

『...ほんッッ...どうは..岳ッッ...に...す...てて...ヒックッ欲しくなか゛...った...グスツ』

もう...
泣いててなんて言ってるか分かんないよ...


かっこ悪すぎだ...

宮沢の前でこんなー...

『よく言った』

『へ??』

な、...

『言えるじゃん。素直に...』

優しく笑う宮沢。

隣ではホッとしたように紗羅が笑ってる。


ーー...


その天使のような悪魔の笑顔に不覚にも恋してしまったのは...しばらく秘密です。

だってー...実らない恋って分かってるのに恋してしまったからー...


しかも、人生初めてふられた日に...




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