死神のレシピ
そこには、あの時の父子がいた



アントニーのおかげで自殺を思いとどまった、あの父子だ



「最近ずっと店を閉めてるし
心配してたんですよ。」



父子はそう言って私の元に駆け寄ってきた



「アントニーがどうしたの?」



隣りの店のおばさんも駆け寄っていた



確かダルシーさんて言ったっけ



「アントニーが…
アントニーが死んじゃう…
助けて、助けて下さい。」



「落ち着いてお嬢さん。
落ち着いて詳しく話して。」



ロニーさんが、焦る私に優しくそう言った



「アントニーのお店に行ったら凄い熱で
朝になっても全然熱か下がらなくて…
私…どうしていいか分からなくて…。」


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