雨の日は、先生と

追い打ち

そしてまた、次の週が始まって。
周りの人にとっては、何ら変わりのない日々が繰り返される。

だけど、私の見る世界は、今までとは違う。

もちろん、先生と過ごした優しい日々は、欠片もない。

だけど、先生と会う前の、何もない空虚な世界とも違う。


ただそこには、どこまでも続いていく砂漠のような、寂しさがあった―――


そして、この日、私はまたひとつ、大事なものを失ったんだ。

想像もつかない形で。

だけど、それは決定的過ぎて、言い訳のしようがなかった。




「―――――来て。」




昼休みに、久しぶりに楓に話しかけられたんだ。

その表情は氷のように冷たかった。

低い声で一言だけ発した彼女が纏っていたのは、明らかに「怒り」のオーラだった。


確かに、私と楓はけんかをした。


でも。


確かに私は、ひどいことを言ったけれど。


こんなに怖い目を向けられるほど、私だけに非があったのかな。

楓は大人なのに、私の気持ち、理解してくれなかったのかな。




楓の後についてベランダに出るまでに、私は色々なことを考えた。




だけど、そんなこと、本当はどうでもよかったんだね。



楓が怒っているのは、そんなことじゃなかった。



そんなことじゃなかったんだ―――
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