愛というキモチのカタチ。
「このはー、帰らないのー?」


背後から美来が声をかけてきたけれど。


「うん、資料が終わんないの、残業決定だよ〜、ごめんね。」


振り向きもせず、ひたすら画面とにらめっこ。


「そっか、あんまり遅くなる様ならお迎え頼みなさいよ?」

「そうだね〜。」


ま、お願いしても彬ちゃんも多忙だからね。ムリだとわかってるし。



「めっずらしいなぁ、木内が残業?」

美来が去った後すぐに、杉浦がやってきた。


「あ、うん。梶課長からお願いされたの。」


画面を見たままキーボードをひたすらパチパチと叩く。

「ブラインドタッチとかスゲえなぁ。何か手伝うか?」

「あー大丈夫よ、ありがとね。」


内容が飛んじゃいそうだから、どうしてもいい加減な返事になってしまう。


「ははっ、聞いてないな、コリャ。じゃあな、お邪魔虫は帰りまーす。」


そう言って彼もまた立ち去った。



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