逃亡

ー8





「ーーーあの、口に合いますか?」


ハヤトさんの記者会見が無事?に終わって(どうなれば無事なのか分からないけど)、気がついたら私も准さんもお腹がペコペコだった。

ご飯を食べに外に出るのも億劫になって。

「えー、またピザぁ~?」
「じゃあ、お前が作れ。」
「理巧兄~、」
「あの、何か作りましょうか?」

二人のやり取りに、そう言うのは自然な流れだと思うのに。

「「?!」」

二人して、目を見開くほど驚くことじゃないと思う。

「真那、ご飯作れるの?!」
「う、うん……普通に作れる、よ?ーーーあ、フランス料理とか、期待されたら無理だけど…」
「カタカナ料理とか、どうでもいいのぉ~真那さま~、冷蔵庫にあるものジャンジャン使っちゃって良いから~」
「わ、分かった。」
異様なテンションで縋りつく准さんに、理巧さんは苦笑していた。




ーーーーーー。


「髪切りに行ったのに、ごめんねー」
こんなことになっちゃって、と、ご飯を頬張る准さんに、「髪、カットしようとしたのか?」と、負けないくらい口一杯にご飯を詰めた兄の理巧さん。

「……。」

冒頭の質問に答えは帰って来ないーーー。

「……不味かったら、食わねえよ。」
一々言わすな、察しろ、と、理巧さんがカッカッとご飯を掻き込んで、空っぽになったお茶碗を差し出した。

「は、はい。」

乱暴な言葉を使う理巧さんは、意外と人の顔色を見ているようで。

「美味しいです、ありがとう。って、何で言えないのかなあ、この兄貴は。」
「ここはお前が作るのが筋だろ!礼ならお前が言うべきだろ。」


冷蔵庫にには、ご飯を不自由無く作れるほど食材が充実していたーーーしかも、保存も完璧で(小松菜が新聞に巻かれて保存されていた!)。

「真那さま(=^ェ^=)」
「は、い?」
真那さま?!


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