セカンドデビュー【完】

まあ、それはいいんだけど。

「橘倖太が出てきた時は、琴音くんは、まだ小学生くらいだったんじゃないですか？」と別のスタッフが言った。

「ああ、そうかもなあ。『miss you』って曲でな、10歳の子供が歌ってるとはとても思えなかったよ。映画の主題歌でな。ネットで調べてみればすぐわかる、ってか、本人とカラオケ行きゃいいんだよ」
「……そうですね」
「毎週のように歌番組に出てたし、ラジオにもしょっちゅう来て喋ってた。あの子は努力家だよ」


その時は、橘さんが戻ってきた。
「終わりました？」
「うん」

猿田さんはじめ、スタッフみんなに挨拶をして、その場を仕切ってくれる。
すごくラクでいいけど、彼がいると、彼が話題の中心になる。