セカンドデビュー【完】
「ちょっと待って!!」

オレの声に、彼は立ち止まった。
誰かに似てる、黒目がちな大きな瞳。

「……水原琴音、さん?」
「……そうだけど。何?」
「何って。……あ、いえ……なんでもないです」

オーディション受けたんですって言うのも変な話だ。
受かると決まったわけでもない。

「……」

ぷいっ、と水原琴音は背を向けて歩き出した。
用もないのに呼び止めるのもおかしいし……。仕方ない。
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