セカンドデビュー【完】
水原プロモーションのビルを出て、横断歩道を渡る。
コンビニに入って、まっすぐデザートの棚に向かう。
(面接帰りはコレがないとー)
お気に入りのプリンを探す。
プリンの上に生クリームが乗ってる商品の、最後のひとつを手に取ろうとしたその時、別の手が割り込んできた。
「あ」
オレより少し背が低い。高校生かな。
春だというのに黒いニット帽をかぶっている。
「……あの、そのプリン、買います?」
オレを見上げた黒い瞳が訴えかけた。
オレの方が少し早かったけど……。
大人気ないかな。
「よかったら、どうぞ」
「……」
「……」
はい、とプリンを目の前に差し出したけど、取らない。
……どうしたいんだ、こいつは。
「あの……、ありがとう」
「いいえー」
どこかで見たことあるような……。
誰かに似てる。
「……あっ」
さっきぶつかった……。
水原琴音?
コンビニに入って、まっすぐデザートの棚に向かう。
(面接帰りはコレがないとー)
お気に入りのプリンを探す。
プリンの上に生クリームが乗ってる商品の、最後のひとつを手に取ろうとしたその時、別の手が割り込んできた。
「あ」
オレより少し背が低い。高校生かな。
春だというのに黒いニット帽をかぶっている。
「……あの、そのプリン、買います?」
オレを見上げた黒い瞳が訴えかけた。
オレの方が少し早かったけど……。
大人気ないかな。
「よかったら、どうぞ」
「……」
「……」
はい、とプリンを目の前に差し出したけど、取らない。
……どうしたいんだ、こいつは。
「あの……、ありがとう」
「いいえー」
どこかで見たことあるような……。
誰かに似てる。
「……あっ」
さっきぶつかった……。
水原琴音?