セカンドデビュー【完】
翌朝、テレビをつけるとワイドショーに倖太が出ていた。
厳密に言えば、彼の実家が映っていた。
白い壁の豪邸、荒れ果てた庭。
小さな声でインタビューに答える彼は、今日も薄幸の美少年に見える。

芝居が上手いね。
僕とは大違いだ。
そんなことを思う自分に嫌気が差す。

僕が知っている倖太はいつも優しくて、笑顔だった。
しょんぼりした元気の無い姿が、本当の彼なんだろうか。

テレビ越しに倖太の笑顔を探そうとしても、コメンテーターたちが勝手な推測を繰り広げているだけで、VTRは終わっていた。

僕がしてあげられることはなんだろう。
< 355 / 592 >

この作品をシェア

pagetop