セカンドデビュー【完】
倖太に電話するとすぐに折り返しがあった。

「テレビ見たよ」
「ああ、ごめん琴音、今日も取材が入ってるんだ。夜に電話するから」
「忙しいんだね」
「今だけだよ。お前の夏休みが終わる前に、どこか行こう。宿題片付けておけよ」
「ねえ。なにか僕ができることはない?
「……」
「家でじっとしてるなんでできないよ」
「琴音、気持ちは嬉しいけど、捜査は警察にまかせるのが一番だよ。今は被害者の息子と、容疑者の息子なんだ」
「容疑者? 君も母さんを疑っているの」
「オレはアヤさんを信じたい。でも警察が疑っていることに変わりない。今は動かない方がいい」

それだけ言うとすぐに電話は切れてしまった。

ひとりで部屋にいると、気分が沈む。







容疑者の息子か。
世間からはそう思われているのかな。




ねえ。




それは倖太の本心なの?
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