セカンドデビュー【完】
「おいで」
「痛っ!」

ぐっと手首を掴まれて、エレベーターに乗り込む。
どんどん上へ向かうに従って、鼓動が激しく高鳴る。
ホテルに呼び出すってことは、つまり、そういうこと。

カードキーを差し込んで、ドアが開いた瞬間、僕は凍りついたように動けなくなった。

「帰る?」
「……」
「オレが払うから心配しないで」

オレはいい子だから、相手が嫌がるならしないよ。
どうする? と問いかける目に逆らえず、僕は小さくうなづいた。
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