異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「ほら、顔に土がついてる!」


鈴華はウェットティッシュを出してあたしの顔を拭ってくれた。何だかんだ言っても優しい友達なんだよね。


「あ、ありがと」

「ん~……でもさ。髪の毛にも土埃ついてる。一度シャワーだけでも浴びて来なよ」

「え~……そんなにひどい?」

「うん。こりゃ女子高生としてはあり得ないレベル」


どんな基準かわからないけど、とにかく鈴華からしてダメらしい。

あたし自身は身なりをあまり気にしないけど、流石に不潔だったり汚い格好は嫌だ。


「わ……わかった。ちょっとお風呂入ってくるから、鈴華は中で待ってて」

「おう! 気にすんな」


男らしい返事をした鈴華を連れて行くため、畑から出ようとした瞬間。


ぶぎゅる、と何かを右足で踏んだ。


「え?」


……何かと思いそこを見れば。


見つかったのは、半分以上土に埋まり顔だけを出した銀色の猫でした。


< 3 / 209 >

この作品をシェア

pagetop