異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「ほら、顔に土がついてる!」
鈴華はウェットティッシュを出してあたしの顔を拭ってくれた。何だかんだ言っても優しい友達なんだよね。
「あ、ありがと」
「ん~……でもさ。髪の毛にも土埃ついてる。一度シャワーだけでも浴びて来なよ」
「え~……そんなにひどい?」
「うん。こりゃ女子高生としてはあり得ないレベル」
どんな基準かわからないけど、とにかく鈴華からしてダメらしい。
あたし自身は身なりをあまり気にしないけど、流石に不潔だったり汚い格好は嫌だ。
「わ……わかった。ちょっとお風呂入ってくるから、鈴華は中で待ってて」
「おう! 気にすんな」
男らしい返事をした鈴華を連れて行くため、畑から出ようとした瞬間。
ぶぎゅる、と何かを右足で踏んだ。
「え?」
……何かと思いそこを見れば。
見つかったのは、半分以上土に埋まり顔だけを出した銀色の猫でした。