異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



「あたしにはね、素敵な家族がいるの。仕事が出来て女性ながら出世した母と、モデルをしながら才媛に相応しい姉。自慢の母と姉……だけど。あたしは……そんな2人に全然似てないの」


そして、あたしは昔のあの事件をティオンと、そばに控えるライベルトに語った。





あれは、小学校3年になったばかりの頃。当時のあたしは男の子に混じり遊ぶ活発な、オテンバな女の子だった。


3つ上の姉はローティーン向けの雑誌で読者モデルをしており、超がつくほど人気で他の読者モデルとは違い、専属マネージャーすらついてた。


両親は共働き。

母はあたしを出産後直ぐに仕事に復帰し、父と同じ会社でバリバリ働いてて(両親は同じ部署で働く職場結婚だった)。


あたしはあたしで友達と遊ぶのに忙しい。


家に帰れば誰もいないのが当たり前の鍵っ子だったし、寂しくないって言えば嘘になるけど。


みんな自慢のかっこいい家族だったから、何もないあたしはこうして独りなのが当たり前って受け入れてた。


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