僕の、うさぎさん。
自己紹介の順番がその女子に回ってきた。
「さ、佐野日菜子…です。よよよよろしくお願いします……」
さのひなこ。
さのひなこ。
さのひなこ。
俺はさのひなこを頭の中で繰り返した。
緊張で喋り方はカタコト。
周りからくすくす笑われてるじゃん。
さのひなこの白い顔がぽっと赤くなった。
「佐野日菜子チャン、清楚で可愛いよね。今時ツインテールが似合う子なんて珍しい〜」
「…あ、ああ。」
淳平の言葉なんて頭に入ってこなかった。
さのひなこ、
どうしても彼女が気になるんだ。
自己紹介が終わり、教科書やらプリントやらを大量に配られる間も
さのひなこのことが気になって仕方なかった。
おかしいな、俺……
初めて会ったのは今日なのに…。
この、もやもやとした感情は何なんだ?
結局俺はさのひなこのせいで一日中うなだれることになった。