皮が剥けた
料理を再び始めるとなって、私は固まった。

水だ。水がそばにある。衛生上の問題より、自分の保身が先に頭を突いた。

もし傷に触れれば、染みて痛い。絶対染みる。

しかし、とやかく思っている暇はない。夕食の時間は待ってくれない。

私は、また中指だけ無様に伸ばした形のまま、料理を始めた。

そして、やり遂げた私は、えらい。褒めてやりたい。えらいぞ、私。
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