皮が剥けた
しかし、関門は容赦なく私を待っていた。

お皿洗い。

食事をしたら食器が汚れる、食器が汚れれば、洗わなければならない。

だれが洗う? 私だ。

指を怪我したの……だれか代わってくれない?

そんな泣き言を聞き入れてくれる甲斐性持ちは、我が家にはいない。

ちくしょうめ……

私は、一呼吸置いてから、水道の蛇口をひねった。

嫌味なほど垂直に落ちるそれは……まさか、透明な錐のように思えた。

覚悟を決める。
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