Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
「そこまてです、牙王。
 残月様を殺す事は、許可していません。
 そのまま残月様を『輪』までお連れして、一緒にクロイツまでお戻りなさい」

「うるせえ、女ぁ!
 これ以上、命令するな!
 オレは、コイツを喰う事に決めたんだ!!
 邪魔をしたら、お前も喰うぞ!!」

 牙王は、一声吼えると、俺を掴んだまま、早瀬に向かって走った。

 と。

 牙王のでかい手が、早瀬に向かって伸ばされる寸前。

 早瀬は、黒い携帯電話を牙王に向けて、何か、操作した。

 そのとたん。





 うががああああああっ!




 牙王は、俺を地面に叩きつけると、頭を抱えてのた打ち回る。

 これが、早瀬の牙王に対する強気の理由か。

 しかし、そんなことは、どうでも良かった。

 腕が、外れるとすぐに。

 仲間割れの隙を突いて、俺は、さっさと牙王から逃げ出したからだ。

「くぅっ!
 莫迦女! 残月が逃げる!
 喰わねぇから、それを早くやめろ!
 待て、残月!
 待ちやがれ!!」

 
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