Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
 生きて虜囚の……

 ああ。

 そうだった。

 そう言えば。

『上層部』は。

 そうやって、兵(つわもの)達を縛っていたな。

『負け戦には、生きて帰るな』と……

 ……ここでも、死ねと。

 ヒトは生きては、いけないと言うのか?

 ふらふらと、洞窟から出て行こうとする俺をジジイが止めた。

「待て。
 まさか、お前も行くなんぞと言うまいな……?」

「……貴様は、その年になっても、まだ命が惜しいのか……?
 戦友たちが死に絶えても、生き恥をさらすつもりなのか?」

「おお。
 いくつになっても命は、惜しいとも。
 お上が何と言おうとも。
 どんなに、みっともなかろうが、わしは生きる。
 残月は、死ぬのか?
 こんな、どうしょうもない所で終わるつもりなのか……?」

「……まだ、敵の一個中隊ぐらいだったら。
 本当に、道連れにして散る力はある……」

 にやりと嘲う俺に、ジジイは、かみつきやがった。

「大莫迦モノ!
 お前がそれでどうする!!
 工藤は。
 工藤は、そうやって死んで行けと、お前に最後の力をやったのか?」

 あやつのことだ。

 違うはずだ、とジジイは睨む。
 
 
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