さがしモノ
トントントン
と、リズミカルに階段を降りるわたし。
しょうがないから途中参加ということで、特別校舎へと向かっている。
渡り廊下を通るのが1番近いけど、職員室の前を通るのが嫌だからわざわざ遠回りしてみた。
普段あまり人が通らないため埃っぽい廊下を1人で歩く。
「…はぁ」と本日3回目のため息が無意識こぼれた。
「ため息ばっかついてんと幸せ逃げるぞ。ま、お前はどのみち不幸になる運命だがな。」
なんだか失礼な発言とともに後ろから腕を掴まれる。
後ろを振り返ると見知った顔があった。
「シュン。授業遅れちゃうから手を離してー」
「あ?お前、先輩と呼べっつっただろーが」
あー。めんどくさい奴につかまったー。
どうやってすり抜けようか。
ためしに透明人間になれーとか念じてみたけど、なれるはずもなく。
代わりに、シュンの腕を掴む力が強くなった。
「ほれ、早くしろ。シュン先輩だ。シュン先輩。言ってみろ。」
「シュンセンパーイ。痛いんで離してくださーい。」
「もっと敬意を込めろよ。」なんて言いながらもやっと離してくれた。
「てかよー、マイ。あいつ最近どーだ?」
いきなり変わった話題に一瞬ついていけなるもののすぐに理解した。
「んー?普通かなー。まぁー荒れてはないと思うよー」
「そうか。それならいいんだけどよ。」
そう言って少し俯いたシュン。
「そんじゃーわたし、授業に行かなければならないのでー」
そんな様子に気づかないフリをして、ひらひらと手をふった。
「は?お前、今から行くのかよ。」
時計に目をやると、授業開始から15分ほど過ぎたところだった。
「そうだよー。わたし真面目だからねー。シュンもちゃんと授業受けなさいよー
」
そう言ってわたしはくるりと向きを変え、シュンに背を向け歩き出す。
後ろで何やら言ってる声が聞こえたが、無視してその場を去った。