スノードームと恋の魔法
「よかったらお昼ご飯を食べていきなさい。小屋から帰ってくるまでには用意しておくから」
お爺さんがミライちゃんの後ろ姿に声を掛けた。
「ありがとうございます」ミライちゃんは笑顔で答えた。
家の中から外の世界へ一歩足を踏み出すと、瞬時に肺の中が凍り付くような感覚がした。
ボフーと白い息を蒸気機関車のように吐き出した。
僕はスケッチブックとクレヨンを脇に抱えて、数100m先にある小屋へと向かった。
ミライちゃんは防水性のムートンブーツを履いていた。
僕が残した足跡を辿るように後から付いて来る。
お爺さんが建てた小屋は湖の上に建っていた。
湖の岸から丸太の橋を作り、僕たちの生活スペースと比べると小作りではあるが、ここにもロッジを建てた。
白銀世界にぽつんと建つロッジは雪に覆われて、家の形をしたかまくらのようにも見えた。
屋根から氷柱がぶら下がっている。
アイスバーンになってつるつる滑る橋を渡ると、氷柱のぶら下がった屋根を指さし、「急に落ちてくるかもしれないから気をつけて」と注意をした。
ミライちゃんは息を弾ませながら「わかった」と頷いた。