スノードームと恋の魔法
家の窓から僕らを呼ぶお爺さんの声が聞こえて、慌てて立ち上がった。
どうやらお昼ご飯の準備が出来たらしい。
「すぐ行きます~」と僕の代わりにミライちゃんが答えて、コートに付いた雪を払った。
僕もダウンジャケットに雪を払っていると、ミライちゃんは手袋を外し、その小さな親指と人差し指で、四角を作った。
(何してるの?)
不思議そうに顔を覗き込む僕に向けて、ミライちゃんは「パシャ」と声を上げて、ほほ笑んだ。
心のカメラに記念撮影したんだよ。冬の日の思い出に、私たちが倒れた跡も撮っておこう」
そう言ってミライちゃんは僕らが雪の上に残した型に、手を伸ばして「パシャ」ともう一度呟いた。
「ねぇ、最後に教えて。・・・あなたの名前は何て言うの?」
真剣な眼差しで僕を見つめる彼女に、思わずふっと笑いがこみ上げてきた。
僕はまだミライちゃんに自己紹介すらしていなかったのだ。
僕はミライちゃんの小さな手を取ると、彼女の手のひらに人差し指で僕の名前を綴った。
何回か確認をして、ミライちゃんは納得したように頷いた。
「これがあなたの名前なんだね?・・・すごくいい名前ね」
そう言われると何か照れる。
僕の名前は亡くなったお婆ちゃんが付けてくれたものだと、昔、聞いたことがあった。