スノードームと恋の魔法


ピンポーンと呼び鈴がなり、玄関の扉を開くと、そこにはミライちゃんが立っていた。


「久しぶり、背伸びたね」


にっこりと笑って僕を見上げる。


僕も同じ感想を持った。


相変わらずウサギの耳当てに真っ赤なミトンの手袋をし、キャメル色のコートを着ていたけれど、コートの袖が7分丈くらいになっていた。


(ごめん、相変わらず、まだ話せないんだ)


昔のようにココアを作って、食卓に座り、ミライちゃんと対峙した。


「忘れられたらどうしようって思って、ちょっときつかったんだけど、去年のコートを着てきたの。去年と同じ格好だったら、思い出してくれるかもって思って」


ミライちゃんは笑顔で話をしてくれた。


ミライちゃんの通う学校で流行っているもののことだとか、友達の恋の相談の話だとか、女の子は話し出すと止まらないみたいだ。


僕は相槌を返す位しか出来ないのだけれど、ミライちゃんはそれでも笑顔で話を続けた。


こうして向き合って、ミライちゃんの話を聞いているだけで、彼女と会わなかった1年の空白を埋めてくれるような気がしてくる。


それから毎日、ミライちゃんは僕に会いに来てくれた。


ミライちゃんと一緒にいると1日があっという間に過ぎていった。



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