スノードームと恋の魔法
もっとも、僕が外出したいなんて言い出すことはほとんどないから、お爺さんはびっくりしたみたいだった。
針葉樹の林を抜け、神社へと向かう道に出る。
大晦日の夜と違って、辺りは暗く、誰もいない。
ぽつりぽつりと民家の灯りが奥の方に見えるだけだ。
夢の中のような静けさだった。
この世界には僕だけしかいないような錯覚に陥る。
前方から雪を掻き分けて走る乗用車とすれ違って、はっと現実に戻った。
瓦屋根の二階建て。
表札を確認する。
ミライちゃんのお爺さんの家だ。
玄関先まで来た所で、インターホンを押すのにためらった。
声が出せないのに、何て言ったらいいんだろう?たちの悪いイタズラだと思われたらどうしよう。
暫くその場で行ったり来たりを繰り返した。
うっかり重大なことを忘れていた。
でも、今、ミライちゃんに会わないと、彼女は明日には自分の家に帰ってしまう・・・