スノードームと恋の魔法
ふっと笑みを含ませて、ミライちゃんは呟いた。
ミライちゃんと話したい。
けれど、声が出せない。
深呼吸をして、気合いを入れても、声は喉の奥でひゅるりと唸っただけだった。
ダウンジャケットのポケットに手を突っ込む。
ポケットの中に入れてあるこぶし大のそれを、握ったり離したりして弄ぶ。
僕にもう少し勇気があったならってつくづく思う。
「本当はね、最初はここに来るの嫌だったんだ。お爺ちゃんもお婆ちゃんもいい人だけれど、田舎で何もないし、お婆ちゃんの作る料理って和食ばっかりだし・・・」
僕は話すミライちゃんの横顔をじっと眺めていた。
でもねと彼女は続ける。
「いつの間にかここに来ることが待ち遠しくなってたの。それって、きっと・・・」
きっと?
「きっと、私が・・・」
ミライちゃんはすぅと息を吸った。
次の言葉が唇から出て来る前に、「おおぃ、ミライ」とミライちゃんのお爺さんが彼女呼んでいる声がした。
「ごめん、もう、行かないと」