スノードームと恋の魔法


部屋を飛び出そうと思ったけれど、間に合わない。


ボクは部屋の真ん中にある机の下に隠れた。


隠れたのと同時にギギと扉が開く。


危機一髪、ボクは息を潜めた。


足音の主はさっきの男の人だった。


履いていたブーツを脱ぎ、もこもこした服を脱ぎ、入口近くのフックに掛けた。


ステップをまたぎ、部屋に上がると、ストーブの前で手を温めていた。


ピーと音をたてたヤカンにぴくりと反応し、脇に抱えていた袋を取り出した。


何かごそごそと音がする。


何をしているのかは彼がこちらに背を向けているので解らなかった。


暫くすると、部屋中にほろ苦くて香しい匂いが広がった。


ボクは鼻をくんくんさせてその香りを楽しんだ。


どうやら彼は飲みものを淹れてたらしい。


机の脚のわずかな隙間からボクは彼を観察していた。


マグカップを持って近くの棚へと移動する。


棚にあるラジオの電源を入れると、音楽が流れる。

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