スノードームと恋の魔法
「あそこのテントで甘酒がもらえるらしい。貰っといで」
参拝が済むと、お爺さんは新年の挨拶にへと、知り合いが集まる輪に入って行った。
少し不安ではあったけれど、雪道を歩いてかいた汗もすっかり引き、何か温かいものが欲しいなと思っていたので、僕は甘酒の列に並んだ。
お爺さんはあっちに居るからなと人が集まっているテントの方を指さした。
こくりと頷く。
「はい、どうぞ」
恰幅のいいおばさんに紙コップに入った甘酒を貰った。
ぺこりと頭を下げて受け取り、冷えた指先を温める。
「ありがとうございます」
元気な女の子の声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると、僕の後ろに並んでいた女の子が甘酒を受け取っていた。
その子が長い髪をふわりと揺らし、向うに歩き出した時、キャメル色のコートのポケットから真っ赤な手袋が落ちた。
あっと思い、誰かに踏まれたらいけないと、僕はその手袋を思わず拾った。
毛糸で編まれたミトンの手袋の片割れだった。
表には小さなピンクのリボンがついている、女の子らしい手袋だ。
手袋を握りしめ、彼女の後を追った。