スノードームと恋の魔法


ボクが顔を上げると、お兄さんは大事そうに両手を胸の辺りで組んで戻ってくると、ボクの前でぱっと手のひらを開いた。


「あれ?これってお姉ちゃんのポシェット?」


真っ赤な毛糸にピンクの小さなリボン。


でも、これはバッグじゃなくて・・・


「元は手袋だったんだ。きっと、君のお婆ちゃんが指の部分の毛糸を解いて肩掛けにしたんだろうな」


元は手袋なんだとボクはお兄さんの手から手袋を受け取った。


2つで1組の・・・


「もしかして、この手袋、お兄さんのものだったの?どうしよう、ポシェットはお姉ちゃんのお気に入りだし、でも手袋は2つないと使えないし・・・1つはポシェットになっちゃったから手にはめれないよ・・・」


ボクがおろおろと狼狽えると、お兄さんはあははと笑った。


「心配しないで。この手袋は僕のじゃないから。それに、僕の手は大き過ぎて、この手袋は入らないよ」


この手袋はね、ある女の子がここにいた印に湖の上に置いていったものなんだよ。


片方がどこかにいってしまったって思ってたけれど、君のお姉さんが大切に持っているのなら良かったよ。


お兄さんはそう言って笑ってた。


お兄さんがそう言うんだったらいいけど、何だかボクは申し訳ない気持ちになった。




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