スノードームと恋の魔法
夜になってまた温度が下がったみたいだ。
「ここの所、あなたからヒトの匂いがすると思ってたの。悪いと思ったけれど、後をつけさせてもらったわ。一体あなたはヒトの住む家で何をしていたの?」
ボクは全身の毛が逆立つのを感じてた。
岩場の陰からお姉ちゃんとお兄ちゃんが心配そうにボクを見つめている。
お母さんがボクを見張っていただなんて知らなかった。
お兄さんに会いに行くたびに自分にヒトの匂いがついていることも・・・
「ぼうや、母さんいつも言ってるでしょう?ヒトという生き物は恐ろしいのだと」
森林を伐採したり、汚したりしてボクらの仲間や住処を奪っている悪の根源であり、彼らは自分たちの暮らしが豊かになることしか考えていないのだ。
ボクのお父さんもたまたま足を踏み入れた山で、猟銃で撃たれて死んだのだ。
だからお母さんはヒトが嫌いなのだといつも言っていた。
お母さんの気持ちは解らなくはない。
ボクだって、夜中にボクたちの住む洞穴の近くにゴミを投げ捨てていくヒトを許せないって思うし。
でも・・・
ラジオから聞こえてくる音楽や、お兄さんのくれたスノードームはボクに感動を与えてくれた。
「ボクはお兄さんと会って、優しいヒトもいるんだなって解ったんだよ。だから、お母さんも・・・」
「あなたの小麦色の美しい毛皮をはぎ取られるのがオチよ!」