スノードームと恋の魔法
そう言って彼は資料を受け取り、視線を落とす。
私は説明をしながら、そんな彼の行動の1つ1つを目に焼き付けた。
私は小さな出版会社に勤める編集者だ。
この仕事に携わって約3年が経った。
私の担当する雑誌は、新鋭のアーティストを発掘する美術誌だ。
編集者とは名ばかりで、ギリギリの人数で制作を行っているので、原稿はもちろん、アーティストへのアポから取材、ある時はカメラマンまで担う何でも屋だ。
今回、事前取材のアポを取ったアーティストはeternalという名称で活動をしているスノードーム作家だった。
●●県内の片田舎、山間の村にずっと住んでいるというこの作家の人気に火が付いたのは、インターネットからだった。
彼は小学校低学年の時に、不慮の事故で両親と祖母を亡くし、唯一の血縁者である祖父と一緒に、この村で暮らし始めたのだという。
幼い頃の彼は、両親と祖母を同時に無くしたショックからか、極端な引っ込み思案で、学校にすら行っていなかったらしい。
彼の祖父が元教師だったらしく、祖父が自ら勉学を教えていたようだが、今でいう引きこもり少年だったとのことだ。
そんな彼がある日、スノードームを手作りした。
自分で作り方を調べて、工作を作ったのだ。