スノードームと恋の魔法
というのも、彼の祖父はスノードームのコレクターだったようで、世界中を旅しては、お土産にスノードームを買った。
そうやって集めたスノードームがたくさん、彼の周りに溢れていたのだ。
自分で作ってみよう、ふとしたきっかけから、彼の才能は発揮された。
初めは小さなジオラマから始まった。
手のひらサイズの水晶玉のようなプラスティックの中に、細かい世界が描き出された。
彼の住むロッジ、彼の家の周りに広がる湖、湖の奥に広がる山。
彼の作る小さな世界は、繊細で物語があった。
彼の才能にいち早く気付いた彼の祖父は、そのスノードームを友人に見せ、地域の物産展の会場に置いてくれないかと頼んだ。
「道の駅」と名の付いた道路施設は、観光地に向かう人々で賑わっており、村の人たちもこの地域振興施設に作った野菜や田舎料理などを卸していたのだ。
こうして、徐々に彼の作ったスノードームは土産物として、浸透していったのだった。
SNSから拡散され、じわじわと人気を博していった。
この頃から、彼の作るスノードームにもこだわりが見え始める。
ドームの中の背景をカラーフィルムで作るようになったのだ。
水晶玉のような球ではなく、半楕円形のドームを使い、ジオラマの中に背景を施した。