スノードームと恋の魔法


土台の中にライトを埋め込み、そのライトを点灯させると、カラーフィルムの背景が彩る。


手のひらサイズの影絵の完成だ。


細かく描写された彼の繊細な仕事が、水の中で揺らめく光と纏って、万華鏡を覗いた時のような光の粒を作る。



例えば、「SAKURA」と名付けられた彼の作品。


背景には桜の木々が描かれ、土台の上にはポツンとキツネが佇んでいる。


ライトを付けると、花びらの1枚1枚が光を浴びて、淡い、濃い、ピンク色の影をキツネの上に落とす。


舞い落ちる雪と光が重なって、まるでライトアップされた夜桜の花びらが、舞い落ちている様子を眺めているような気分になるのだ。


美しくて温かい、彼の描く世界。


彼の存在を知ったのは、ネットの記事でだった。


記事は地方紙を取り上げたもので、彼が初めて地元の会館で個展を開いた時のものだった。


あどけない表情でスノードームを胸の辺りで掲げ、微笑む青年にくぎ付けになった。


暗闇の中で行われたちょっと変わったスノードーム展、「eternal ~未来への光」と名付けられたその個展の様子を記事は示していた。


___暗闇の中に足を踏み入れた瞬間、そこには幻想的な光の世界が広がっていたのです____


___スノードームですので、作品に直接、手を触れることも可能です。上下に振ってみると、細かい雪がひらひらとドームの中で舞い落ち、小さな世界に一層、彩りを添えるのです____



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