スノードームと恋の魔法


「え?」


開いた扉の先に、くるんと丸い眼をこちらに向けて、もこもこの毛並みをした____ん?何だろう首の辺りから真っ赤なポシェットをぶら下げている。


「もしかして、さっきのキツネちゃん?」


そう訊ねると、キツネはびくんと体を震わせ、踵を返した。


「あ、待って!」


声を上げたけれど、当然待ってはくれず、キツネは再び雪原の中を走り去ってしまった。


よっぽど慌ててたのか、ポシェットの先を橋の杭に引っ掛けてしまったみたいだ。


ニット地のポシェットがほどけ、キツネの逃げて行った方向を示すように、白い雪の中に真っ赤な毛糸が伸びていた。


橋の上にスノードームが転がっているのを見つけた。


小さなキツネが夜空を眺めている。


雪の他に星型のスパンコールが一緒に舞い落ちる。


間違いなく彼の作品だった。


土台の下にオルゴールが付いている。


回してみると、くるくるとスノードームが回りながら、さっき聞こえたメロディを奏で始めた。


何でこれがここに落ちているんだろう?


さっきは何もなかったはずなのに・・・もしかして、さっきのキツネの物なのかな?


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