スノードームと恋の魔法
「雪ダルマ?・・・あの赤い手袋のこと?・・・手袋?・・・あ!」
私は思わず雪ダルマに駆け寄った。
真っ赤なミトンの手袋には小さいピンクのリボンが付いている。
この手袋は、あの時の私のものだ。
「雪が積もる頃になると、毎年、この場所に雪ダルマを作ることにしてたんだ。いつか、未来ちゃんがロッジの窓から、部屋の中を覗きに来てくれるような気がして、君が残していった手袋を嵌めた雪ダルマが目印になってくれればいいなぁって思ってた」
ここに来るまで、随分長い時間が掛かってしまった。
お父さんの仕事の関係で、再び日本に戻って来ることになったのは、大学生の時。
小さな出版社に就職して、それなりに恋もして、毎日忙しくて充実していたはずなのに、いつもどこかで、永遠くんと過ごした冬の日を懐かしむ自分がいた。
初恋の甘い思い出だから?
あの日みた壁一面のスノードームがキレイだったから?
スノードームアーティストとして活躍する彼の記事を見た時、嬉しかったのと同時にショックも受けた。
彼は今も変わらずあの山村にいるのだという事と、アーティストとして開眼し、自分には手の届かない世界に行ってしまったんじゃないかという不安からだ。
次に彼と会う時は誇れる自分でありたいと思い、仕事を頑張った。
自分に少しだけ自信を持てるようになって、ようやく彼のインタビューアーとして、ここを訪れることができたのだ。