虹の架かる橋
「ケイ…。」
マサが私の名前を呼んだ。

「うん…。」
私は窓の外から、マサに視線を向けた。



「もう一度、抱きしめていい?」


「うん…。」
私は小さな声で言いながら、頷いた。


それを聞いたマサは、ゆっくりと私の方へ歩きだし、私の顔を見ながら、私の身体を抱き寄せた…。


さっき頭の中で考えていた事を、声に出そうとしたけど、上手く言えないように思えて、言葉を飲み込んだ。



「ケイ、何か話してよ…。」
マサは私を抱きしめながら言った。


「マサは、何のために今、NZに居るの…?」


私はマサに抱きつきながら、訊いた……。


それ以上、何も言葉が出てこない。


愛してるから、常に重荷になりたくない、と思ってしまう。


つくづく自分は素直じゃないね。


もっと素直だったら、いろんな意味で、器用だったかもしれないね…。



人生変わってたかもね…。


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