変わり者同盟
「ん?すもも、その答えはあたしに失礼ではないかね?」

「いや、すももの意見は正論よ。」


美沙ちゃんの言葉に、菜子ちゃんが「なにおー!」と、怒っている。


・・・・・・・・・仲、いいなぁ・・・。


私がしみじみと思っていると、すももちゃんがくいっと私の制服の裾を引っ張った。

すももちゃんを見れば、真剣な瞳と視線が交わり、私はそっと息をのんだ。


「冬香、あたしは伝えるから。
久流君のこと、諦めたりなんてしてないから。

もし、冬香がそうやってずっとうじうじしてるんなら・・・

たとえ今日振られたとしても、久流君、あたしがもらっちゃうね。

文句、言わないでよ。」


言った後、くいっと口角を上げて、すももちゃんは勝気な笑みを見せた。


私は・・・・・・ドクンって、心臓が音を立てたのを感じた。

けど、何も言い返すことが出来なくて・・・


まるでセメントで固められたかのように、動けずにいた。



「うはっ!宣戦布告とか、すももやるぅ~♪」

菜子ちゃんが明らかに楽しんでいる口調で言えば、すももちゃんはふいっとどこかへ行ってしまった。


「あららららー?すもも、どこいくのー?
怒っちゃったー?」


菜子ちゃんの声に、返事をしないすももちゃんの変わりに美沙ちゃんがため息をついた。


「・・・・・・ハァ・・・本当、菜子って・・・・・・・・・」

「え、何そのため息!あたしは自分の気持ちに正直に生きてるだけだよ!」

「・・・・・・正直に生きすぎ・・・」

「いやぁ・・・それほどでもぉ~」

「褒めてないわよ・・・。」


2人が漫才のような会話をしている間、私の心の中は嵐が吹き荒れていた。




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