変わり者同盟
憧れ続けていて、遠い人だと思っていた久流君に、自分で作ったお弁当を美味いって言ってくれたんだ。

集中しろという方が難しいのは、分かってる。


でも・・・でも・・・頑張れ私!!!

しかし、私の脳裏には久流君の端整な顔ばかり浮かび、絵筆を動かす手の動きは、ノロノロ。


そして無情にも、絵にほとんど変化の無いまま、部活終了のチャイムが鳴り響いたのだった。










――そして今。


翌朝のホームルーム前、私は自分の席に座って、久流君に作ってきたお弁当のことを思う。

卵焼きは、結局また入れることにした。

久流君が『俺、この卵焼き好きだ。』って、生真面目な顔で言ってくれたから。

他に手作りの小さいハンバーグ、味噌ベースの野菜炒めに、梅と昆布の定番のおにぎり。


・・・・・・気に入ってくれるといいんだけど・・・。



ちなみに、すももちゃん達は昨日の昼休み、私と久流君が話していたのを見ていなかったみたい。

だって、お弁当ちゃんとできたの?とか聞いてこなかったから。


おどけたように『早くあたしのこと売り込んでよぉ~』と、登校中、すももちゃんに言われただけ。

すももちゃん、目は笑ってなかったんだけどね。



「・・・・・・・・・ハァ・・・」


思わずため息。

すももちゃんのことを久流君に売り込むなんてこと、気弱な私にできるとは思えない。


でも、すももちゃん達に無理だよって、抗議する勇気もないし・・・。



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