変わり者同盟
私なんかが、分かる痛みだとは思わない。

それでも、分かりたいと思う。



「なんとなく・・・気付いてはいたんだ・・・。

俺と父さん、全然似てないし。

でも、俺、信じたくなかった・・・・・・。

俺のこと育ててくれたのは、やっぱ、父さんだから・・・


だから・・・・・・

寂しいって、思う・・・すごく幼稚だとは思うけど、寂しいって思う・・・。」


耳元で聞こえる、いつもよりも数段小さな久流君の声。

紛れもない久流君の“本音”。


・・・・・・久流君。

幼稚なんかじゃないよ。全然、幼稚なんかじゃない。


「寂しいって、思って当然なんじゃないかな・・・。」

分かる、とは、言わないけれど。
久流君の気持ちが分かるなんて、言えないけれど。



―――でも。


「家族って、思ってて・・・絶対絶対繋がってるって信じてて・・・

でも、本当は繋がってなかったら・・・・・・・誰だって、寂しいって、思うんじゃないかな・・・。」


想像することは、できるよ。

久流君の気持ちには、到底追いつけないけれど、少しでも近づけたよね?


「でも、家族だよね?絶対、じゃないかもしれないけど、家族だよね?
久流君と久流君のお父さんは、家族だよね?

血の繋がりがなくても、家族だってことに変わりはないよね?」


久流君の背中を叩くのをやめて、代わりに私は久流君の制服をぎゅっと握る。


「・・・・・・・・・あぁ・・・。家族、だよ・・・。俺と父さんは、血は繋がってないけど・・・家族だ・・・。」


穏やかな声に、ホッとした。



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