変わり者同盟
不安で、不安で。
涙を流しながらもぎゅぅっと目をつぶれば。

「・・・いっ!?」

額に痛みがあった。


おそるおそる目を見開けば、久流君が私と体を少し離していて、不機嫌な顔で私を見ていた。


「比佐乃、それ、すっげぇ傷つくんだけど。

何その“気まぐれ”って。

あのさ、気まぐれで、変わり者同盟結んだり、両親の話聞いてほしいなんて思わないから。

だいたい、俺そんな軽い奴じゃない。
傍にいていいに決まってるだろ。

分かれよ、そんぐらい。」


久流君は、不機嫌で、怒ってるみたいだけど・・・私は、どうしようもなく嬉しくなって。


「わ、な、泣くなよ比佐乃!ごめん!言い方きつくてごめん!デコピンしてごめん!
だから、泣くなよっ・・・。」


私が涙を流せば、久流君は慌てて両手を合わせたり、私の頭を撫でたりし始めた。

・・・こんなに取り乱した久流君を見たの、初めて・・・・・・。


あわあわしてる久流君が、不謹慎だけど、なんだか可笑しくて、可愛くて。

「ふふっ」

思わず、笑みがこぼれた。


久流君はそんな私を見て、ぽかんとしている。
そんな久流君に、私は微笑みながら説明した。

「あのね、久流君。さっきの涙はね、嬉しいからなんだ。
嬉し泣きなの。

ありがとう。気まぐれじゃないって言ってくれて。
傍にいていいって言ってくれて。

私ね、すごく、すごく、嬉しかったんだぁ・・・。」


へへっとはにかめば、久流君がふいっと顔を背けた。

「そ、そういうことは始めに言えよ・・・」


・・・・・・?
久流君の耳が、ほんのり赤いような?



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