夏休み
「えっと、紹介するね、右から哲に、優、で私の妹の、晴美」
紹介された三人の一人、哲といわれた少年は、体が人一倍大きく、がき大将ってこういうのを言うのかと思わす風貌で、優は真面目そうな眼鏡少年、雪美の妹と言われた晴美は、雪美と違って活発そうで、肌も麦色に焼けていた。
「こっちは、カズバァの所の孫の、直哉君、みんな仲良くしてね」
「はぁ〜い」
三人は綺麗に声をハモらせ、大きく返事をした。
「あの、これって・・・」
「直哉君この村始めてでしょ、だから、同い年の遊ぶ子がいたらいいかなって」
「・・・はは」
直哉は、その言葉に笑うしかなかった。

「おい!優!そっちいったぞ!」
「・・・」
川に直哉を抜かした三人が、手に網を持ち、太股までビショビショに濡らしながら魚を追っていた。
「やった!捕ったぁ〜!」
優が持っていた網の中に、小さな魚が一匹入って、三人は大盛り上がりだった。
「やったぁ〜!」
「ねぇ!直哉も入ってきなよ」
川の辺の岩に、腰を下ろしていた直哉に晴美は声を掛けた。
「・・・結構です」
直哉は、その子供たちのテンションに着いていけず、ため息をついた。
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