お前のことが好きだから。
「れーいーちゃん♪」
「はっはいぃ!!」
「詳しく教えてくれるよな?昨日あったこと。」
優里さん……その笑顔素敵ですね。ドス黒いオーラが涌き出てますよ。
…怖いです。
「ちょっと…それは……。」
「え?教えてくれる?ありがとな~♪」
「えっ!?……今あたし…。」
「なんか言ったか?」
「い、いえ!!何も……です!!」
«鳴海鈴の死亡フラグが立ちました。»
*****
「へーえ。つまり、正体はばれてないんだな?」
「は、はい。」
あたしは優里に昨日のことを洗いざらい話した。
話してる途中、時々優里が殺気を跳ばしてくるのが怖かった……。
「まぁ、鈴が無事なだけよかったよ。」
誰もが魅了されるような笑みを浮かべて、優里はあたしの頭を撫でた。
「ゆ…優里ぃい~。」
貴女様はなんて優しいお方なんだ~。
メロメロズッキュンですよ、あたし。
「それにしても、あの河野或斗がねぇ~。」
あいつが笑うところなんてかなりレアだよな、と優里は続けてこう言った。
「まぁ、あたしもめちゃくちゃ驚いたよ。いつもあんなに人に対して消極的な河野或斗が……ねぇ?」
彼は犬好きなのだろうか?
そういえば…河野或斗は昨日…
『そうかお前も独りなのか…。』
って言ってたよね…。
お前“も”ってことは河野或斗は独りなのかな?
確かに家に誰も居なかったような…。
でも大きい家に一人って少し可笑しいよね。
両親が短期の出張中とか?
その可能性はありうる。
「なんか面白いことが起きそうだな。」
考え事をしていたあたしは優里の呟きには気づくことができなかった。