恋の扉を開けて
「何か軽く食べよう。」

「はい。」

ダイバーシティ内のレストランに入った。

私は初めて専務と食事をした。

「2号店にアンティークを入れようと思うが問題はロット数だ。」

専務は私に意見を求めることがあった。

「君は輸入にも詳しいだろ?」

「はい。」

「個人で輸入した場合のコストを教えてほしい。」

「関税を調べれば計算できます。」

「あとでメールをくれないか?」

「承知しました。」

「食事中に仕事の話で悪い。」

「いいえ、お気遣い無用です。」

私はそんな些細な事には関心なかった。

専務と食事の席につく事が最重要事項であり

この最も喜べる状況で心の中ではひっそりと嬉し涙を流した。

「今まで君と食事する時間もなかった。」

「専務は多忙でいらっしゃいますので。」

「君もだろ?」

「私は普通だと思います。」

「この状態が普通だとは思えないな。」

「そうでしょうか?」

「普通のOLならデートか習い事かもしくは合コンだ。」

「私の場合はそれがバイトなだけです。」

「言い切るところが普通じゃないよ。」

専務は私の目を見つめた。

私も見つめ返した。

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