恋の扉を開けて
θ.恋の扉
私はうとうとしていて物音で目が覚めた。

「ルリル?」

専務が戻ったようだ。

「はい。」

「さっきの続きだが。」

「はい。」

彼は紅茶が入ったカップを運んできた。

「熱いよ。」

「ありがとうございます。」

紅茶の香りが鼻をくすぐった。

「じっくり考えてほしい。」

「はい。」

「君にとって大きな決断になるはずだ。」

私の返事はもう決まっていた。

彼のサポートなら自ら進んで志願したいくらいだ。

彼のそばにいたい。

彼の役に立ちたい。

そして彼をそっと愛したい。

私の想いは伝わらなくても構わなかった。

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