Dear.
明里さんは強い
強くて、凛としていて、あの山南様が愛さずにはいられなかった理由がよくわかった気がした
タッタッタ、と近藤様を呼ぶために屯所の廊下を走っていれば丁度曲がり角で誰かとぶつかってしまう
「っっ...」
ちょうど鼻の頭を打ってしまい、痛みを必死に堪えていれば、そっとその痛む部位を触られる
「慶、ごめん!!」
さすさす、と優しく大きな手で撫でてくれるのは総司
「大丈夫よ〜、そんなに心配しないで、私も悪かったんだし。」
あの夜から敬語はやめて欲しいと言われて総司に対して普通に喋るようになったのだが、抵抗というものはまだ少しある
「本当かい?
なら、いいんだけど...
それより、急いでたけどどうしたんだい?」
「あっ!
明里さん!明里さんが来たのっ!!!」
危うく総司と語ってしまうところだったが、彼の一言で近藤様を早くお呼びしないといけないことに気がつく
「明里さんが、近藤様にお礼を言いに門のところまで来てるの!」
上機嫌でそう伝えると、総司は困ったように笑って私の頭にぽんっと優しく手を置く
そこで気づく私は馬鹿だ。
総司は、明里さんの事を耳にするのは辛かったかもしれない、と。