Dear.
「ええ、そう...藤堂君、君も来てくれるなんて嬉しい限りだわ。」
屯所のある一角で、そんな少し女よりた口調をしている伊東甲子太郎の声が響く
「じゃあ、そう言う事で頼むよ、伊東さん」
そして、もう一人藤堂平助の声も強く、だけど何処か悲しそうに聞こえる
こういうやり取りは今日だけの話ではない。
伊東甲子太郎は着実に、そして確実にこの新選組を離隊する仲間、そしてその後、新たな組織を作るための仲間を集っていた
平助が去った後、その場に残り、密かに笑みをこぼす伊東
あと、少し。
あと少しでここともお別れ
山南さんを追い詰めたのは、私だけれども、まさか死ぬことになるとは想定外だった
けれど、それで新選組を離隊して私についてこようという人が増えた
山南さんには感謝しなきゃねぇ...
ふふっ、と笑をこぼすと、ある子の事が頭をよぎる
武久 慶...。
あの子は鋭いし、頭も良い
なら、手に入れてて損はしないはず
ニヤリ、と骨格が上がりクツクツと笑い声が響く
確か、あの子の兄は...
「さて、最後の仕上げに取りかからなきゃね。」
伊東は小さく呟くと、自室へと軽い足取りで戻って行った