Dear.
だが、そんな事を感じさせないようにその手を避けると、
「兄さんからですか?」



そう冷静に口にして見せる。




でも、兄さんが私のことを話していたというのは少々恥ずかしい。
だが、兄さんの生活に私が存在して居たことはとても喜ばしい事でもある




「ああ、よく出来た妹だとね。
あと、子供の頃の話とか...



あ、寂しがりやとも聞いたかな?」





前言撤回。




兄さんがそこまでベラベラと私の事を話していたのはとても恥ずかしい事だったみたいだ




「すべて、忘れてしまって構いません。」




頭を抱えて項垂れるとククッ、とかなり特徴的な笑い方をされる




「まあ、ここで立ち話もなんだから、中に入ろうか?



きっと、皆君を迎え入れるだろうしね。」




「え...あ、はい。」




清光様に取り次いでもらえないのか、いやもしかしたら、清光様が事前に話をつけているのかもしれない...




沖田様に手を引かれるまま、壬生寺の門を潜る






「さあ、おいで。」





彼のそんな言葉で私は招かれてると思った




けれど、そんなの思い違いで、ただ罠に簡単にハマってしまう馬鹿な子。





今の私なら、自らを蔑みそう思ったことだろう




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