Dear.
二ヶ月前...



神無月にもなれば暑さ、よりも寒さ、を感じる


「そういえば..、平助まだ江戸にいるのですか?」


トントンッ、と良い音を立てながら大根が切っている斎藤様にそう尋ねると「ああ、」と短い返事が返って来る



「長いのですねぇ。」


彼が江戸へ向かってからもう一ヶ月が経とうとしているが、彼が帰って来る様子は伺えない



「それほど新入隊士が多いということだろう。」


大根を切り終えた斎藤様は今度は人参を手に取り切り出す


彼は意外と料理が上手い

きちっとした性格が料理にあっているのだと思う

だからこうやって料理を手伝ってもらう事が多々あるのだが、いつも一方的に私が喋っているだけで、斎藤様は「ああ。」ぐらいの相槌ぐらいしか言ってくれず、こうやって文章を口にするのは珍しいのだ


ああ、因みに総司、原田、永倉、土方には調理台には立たせない

というか、その権利はない。


一度手伝ってもらったら焦がす、ぶちまける、味を変える、途中で投げ出す、などの行為をしたからである



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