黒イ世界
学校帰りの電車だった。前よりも柵を注意深く見るようになったが、何も起こらない日々が続いた。


あの時の出来事も次第に自分の中で薄れて来ていた。
そんな時だった。

ふと柵に目をやると、人影が見えた。




あの人だ!!!

前よりもはっきりと確認できた。黒い髪の女の人がいた。

やはり、気のせいや見間違いではなかった。


僕は電車のドアが閉まる直前、急いでホームへ飛び降りた。
危うくドアに挟まれそうになった。
駅員が怪訝そうな顔で僕に目をやった。

気にせずに急いで改札を抜けた。
道は何と無く覚えていた為か、意外とすぐに着いた。

しかし、すでにそこに人影はなかった。


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